診療のご案内 物忘れ外来

早期発見が認知症治療のカギ!「物忘れ外来」の受診の流れと注意点

もの忘れ外来とは

「もの忘れ外来」とは、記憶に関する問題や認知機能の低下に悩む方々のための専門外来です。年齢を重ねるにつれて、誰しもが経験することのある「もの忘れ」。「昨日のご飯が思い出せない」「どこに物をしまったかわあからない」などよくあることと思われますが、忘れっぽさが日常生活に支障をきたす場合や、周囲から心配されるような場合には、専門的な診察が必要です。
当外来では、医師が個別の症状を丁寧に評価し、必要に応じたアセスメントや治療を行います。適切な診断を行うことで、早期介入が可能になり、認知症などの進行を防ぐサポートを提供します。

もの忘れと認知症の違い

「もの忘れ」と「認知症」は、しばしば混同されがちですが、それぞれ異なる意味を持ちます。

もの忘れ:
主に加齢に伴う一時的な記憶障害であり、たとえば「どこに鍵を置いたか忘れた」や「友人の名前が出てこない」といったことが該当します。これらは一般的には日常生活に大きな影響を与えず、時間が経つと自然に回復することが多いです。


認知症:
何らかの原因により記憶や判断力などの脳の働きに障害が起こり、進行性の脳の疾患であり、記憶力の低下に加えて、思考力、判断力、コミュニケーション能力など、さまざまな認知機能に影響を及ぼす状態です。日常生活に深刻な支障をきたすことがあり、早期の診断と介入が非常に重要です。

診療内容

もの忘れ外来では、以下のような診療内容を提供しています。

  1. 1 初診評価: まずは患者様の病歴や生活環境、家族歴などをお伺いし、詳しい初診評価を行います。必要に応じて、精神的な状態のチェックや身体的な診察も行います。
  2. 2 認知機能検査: 記憶力や判断力を測るための専門的なテストを実施します。これにより、もの忘れの程度や原因を明らかにします。
  3. 3 必要な検査: 血液検査や画像検査(CT/MRI)など、必要に応じて追加の検査を行います。これにより、他の病気との鑑別を行い、正確な診断を行います。
  4. 4 治療とフォローアップ: 診断結果に基づき、治療計画を立てます。医学的治療が必要な場合は適切な薬物療法を行いますが、生活習慣の見直しや認知リハビリテーション、家族への支援も重要な要素です。
  5. 5 相談・サポート: 患者様やご家族の不安や疑問に丁寧にお答えし、必要に応じて専門機関や地域の支援サービスをご紹介します。

主な症状

もの忘れ外来を受診される方には、以下のような主な症状があります。

  • 同じ話を何度も繰り返してしまう
  • 約束した事をよく忘れてしまう
  • 最近の出来事を思い出せないことがある
  • 買い物リストを作っても、忘れてしまうことが多い
  • 友人や芸能人の名前が出てこない
  • 日常生活の中で物品を置き忘れる頻度が増える
  • 趣味がなくなりやる気が出てきづらい
  • 些細なことで喜怒哀楽が表れるようになった
  • 重要な予定を忘れる
  • 複雑な料理や家事ができなくなる
  • 時間や場所の感覚が鈍る

これらの症状を感じた際には、早めにご相談いただき、適切な評価と治療を受けることが大切です。当外来では、あなたの不安をしっかり受け止め、最適なサポートを提供いたします。お気軽にご相談ください。

当院は 認知症相談医療機関 です。
また、理事長は厚生労働相の定める かかりつけ医認知症対応向上研修を修了済みです。
2025年、65歳以上の高齢者のうち認知症の人は約700万人(5人に1人)に増加すると予測されています。
さらに、認知症予備軍とも言われる軽度認知障害(MCI)の人は認知症の人と同数程度いるとも言われており、認知症対策は社会的に緊急の課題と言えます。
現在、認知症は症状の進行を一定期間防ぐ薬はあるものの、根本的な治療薬は未だ開発中です。
大切なのは発症後の治療ではなく、発症前の予防です。
認知症は、なる前に予防しましょう。

認知症相談医療機関

軽度認知障害(MCI)とは?

軽度認知障害(MCI)とは、健常者と認知症の中間の段階を指します。日常生活に支障はありませんが、そのまま過ごすと約5年でその半数以上が認知症に進行すると言われています。 最近の研究ではMCIの段階で適切な予防や治療を行えば、認知症の発症を防ぐことや遅らせることができると分かっています。
認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)は、発症する約20年前から主な原因物質でアミノイドベータペプチドが脳内に溜まり始め、認知機能が少しずつ低下していきます。

認知症のイメージ

検査

MCIを早期発見する検査って?

アルツハイマー病はアミロイドベータペプチドという老廃物が脳に蓄積し、神経細胞を破壊することで発症します。
「MCIスクリーニング検査」は、血液中の特定のタンパク質の量を調べることにより、アルツハイマー型認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)のリスクを統計学的に判定するものです。

こんなことが気になる方におすすめです!

  • 最近、もの忘れが増えてきた
  • 肥満や糖尿病など生活習慣病の恐れがある
  • 親や家族の様子が少し変わった気がする

検査の流れ

  1. 検査は採血のみ
  2. 検査結果は約2~3週間でわかりますので来院して診察を受けてください

検査結果について

健康診断と同じように定期的に検査を受けることで、ご自身の変化を早い段階で気づくことができます。
健康な方でも高齢になるにつれて、認知症やMCIのリスクは自然と高まります。検査の結果に関わらず、生活習慣を改善し予防に取り組みましょう。

判定結果はリスクに応じてA~Dの4段階

  1. 1~2年に1回は検査を受けましょう
  2. 1年毎の定期検診を受けましょう
  1. 6ヶ月~1年毎の定期検診を受けましょう
  2. 2次検査をおすすめします

MCIスクリーニング検査は当院で受けられます!

MCIスクリーニング検査とはMCIのリスクを調べる検査です。 早期の対策で認知症発症を予防しましょう。

  • 検査は採血のみ。
  • 検査結果を受け取る。

こんなことが気になりだしたら当院にご相談ください

  • 日付や曜日が分からないことがある。
  • 同じことを何回も繰り返すことが多くなった。
  • ささいなことで怒りっぽくなった。
  • 知っている人なのに名前が出てこない。
  • 置き忘れ、しまい忘れが多くなった。
  • 人と約束したことを忘れてしまった。
MCIプラス スクリーニング検査

認知症の予防

認知症は生活習慣病のひとつです。
「自分はまだ大丈夫」「私は認知症にならない」と思っている方は要注意!元気なときにこそ生活習慣を改善し、認知症やその他の病気にならない体づくりをしましょう。

運動 おすすめは有酸素運動
食事 バランスの良い食事。野菜や青魚、良質な油など
趣味 旅行や料理、音楽など楽しめる趣味を持つ
睡眠 昼間働いた脳を夜にしっかりと休める
サプリメント 食事で不足しがちな栄養素をカバー

大切なのは生活習慣病の予防

肥満や糖尿病などの生活習慣病は認知症のリスクを高めます。