早期発見が認知症治療のカギ!「物忘れ外来」の受診の流れと注意点
「もの忘れ外来」とは、記憶に関する問題や認知機能の低下に悩む方々のための専門外来です。年齢を重ねるにつれて、誰しもが経験することのある「もの忘れ」。「昨日のご飯が思い出せない」「どこに物をしまったかわあからない」などよくあることと思われますが、忘れっぽさが日常生活に支障をきたす場合や、周囲から心配されるような場合には、専門的な診察が必要です。
当外来では、医師が個別の症状を丁寧に評価し、必要に応じたアセスメントや治療を行います。適切な診断を行うことで、早期介入が可能になり、認知症などの進行を防ぐサポートを提供します。
「もの忘れ」と「認知症」は、しばしば混同されがちですが、それぞれ異なる意味を持ちます。
もの忘れ:
主に加齢に伴う一時的な記憶障害であり、たとえば「どこに鍵を置いたか忘れた」や「友人の名前が出てこない」といったことが該当します。これらは一般的には日常生活に大きな影響を与えず、時間が経つと自然に回復することが多いです。
認知症:
何らかの原因により記憶や判断力などの脳の働きに障害が起こり、進行性の脳の疾患であり、記憶力の低下に加えて、思考力、判断力、コミュニケーション能力など、さまざまな認知機能に影響を及ぼす状態です。日常生活に深刻な支障をきたすことがあり、早期の診断と介入が非常に重要です。
もの忘れ外来では、以下のような診療内容を提供しています。
もの忘れ外来を受診される方には、以下のような主な症状があります。
これらの症状を感じた際には、早めにご相談いただき、適切な評価と治療を受けることが大切です。当外来では、あなたの不安をしっかり受け止め、最適なサポートを提供いたします。お気軽にご相談ください。
当院は 認知症相談医療機関 です。
また、理事長は厚生労働相の定める かかりつけ医認知症対応向上研修を修了済みです。
2025年、65歳以上の高齢者のうち認知症の人は約700万人(5人に1人)に増加すると予測されています。
さらに、認知症予備軍とも言われる軽度認知障害(MCI)の人は認知症の人と同数程度いるとも言われており、認知症対策は社会的に緊急の課題と言えます。
現在、認知症は症状の進行を一定期間防ぐ薬はあるものの、根本的な治療薬は未だ開発中です。
大切なのは発症後の治療ではなく、発症前の予防です。
認知症は、なる前に予防しましょう。
軽度認知障害(MCI)とは、健常者と認知症の中間の段階を指します。日常生活に支障はありませんが、そのまま過ごすと約5年でその半数以上が認知症に進行すると言われています。 最近の研究ではMCIの段階で適切な予防や治療を行えば、認知症の発症を防ぐことや遅らせることができると分かっています。
認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)は、発症する約20年前から主な原因物質でアミノイドベータペプチドが脳内に溜まり始め、認知機能が少しずつ低下していきます。
アルツハイマー病はアミロイドベータペプチドという老廃物が脳に蓄積し、神経細胞を破壊することで発症します。
「MCIスクリーニング検査」は、血液中の特定のタンパク質の量を調べることにより、アルツハイマー型認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)のリスクを統計学的に判定するものです。
健康診断と同じように定期的に検査を受けることで、ご自身の変化を早い段階で気づくことができます。
健康な方でも高齢になるにつれて、認知症やMCIのリスクは自然と高まります。検査の結果に関わらず、生活習慣を改善し予防に取り組みましょう。
MCIスクリーニング検査とはMCIのリスクを調べる検査です。 早期の対策で認知症発症を予防しましょう。
認知症は生活習慣病のひとつです。
「自分はまだ大丈夫」「私は認知症にならない」と思っている方は要注意!元気なときにこそ生活習慣を改善し、認知症やその他の病気にならない体づくりをしましょう。
運動 | おすすめは有酸素運動 |
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食事 | バランスの良い食事。野菜や青魚、良質な油など |
趣味 | 旅行や料理、音楽など楽しめる趣味を持つ |
睡眠 | 昼間働いた脳を夜にしっかりと休める |
サプリメント | 食事で不足しがちな栄養素をカバー |
肥満や糖尿病などの生活習慣病は認知症のリスクを高めます。
脳卒中(のうそっちゅう) | 脳の血管が詰まる「脳梗塞」や、破れて出血する「脳出血」などの総称です。突然、体の片側の麻痺、言葉の障害、視覚異常などの症状が現れます。発症から治療開始までの時間が、脳の損傷度合いや回復に大きく影響するため、一刻も早い診断と治療が極めて重要です。 |
脳梗塞(のうこうそく) | 脳卒中の一種です。脳の血管が詰まり、脳に血液が供給されなくなることで、脳細胞が壊死する病気です。動脈硬化や不整脈による血栓が主な原因とされます。症状は、片側の手足の麻痺やしびれ、言葉の障害(ろれつが回らない、言葉が出ない)、視覚異常などです。発症から治療開始までの時間が、脳の損傷度合いや後遺症に大きく影響するため、異変を感じたら直ちに医療機関を受診することが極めて重要です。 |
脳卒中(のうそっちゅう) | 脳の血管が詰まる「脳梗塞」や、破れて出血する「脳出血」などの総称です。突然、体の片側の麻痺、言葉の障害、視覚異常などの症状が現れます。発症から治療開始までの時間が、脳の損傷度合いや回復に大きく影響するため、一刻も早い診断と治療が極めて重要です。 |
脳梗塞(のうこうそく) | 脳卒中の一種です。脳の血管が詰まり、脳に血液が供給されなくなることで、脳細胞が壊死する病気です。動脈硬化や不整脈による血栓が主な原因とされます。症状は、片側の手足の麻痺やしびれ、言葉の障害(ろれつが回らない、言葉が出ない)、視覚異常などです。発症から治療開始までの時間が、脳の損傷度合いや後遺症に大きく影響するため、異変を感じたら直ちに医療機関を受診することが極めて重要です。 |
パーキンソン病(パーキンソンびょう) | 脳の特定の神経細胞が減少し、神経伝達物質であるドーパミンが不足することで発症する進行性の病気です。主な症状は、手足のふるえ(振戦)、体のこわばり(固縮)、動作が遅くなる(動作緩慢)、バランスが取りにくくなる(姿勢反射障害)といった運動症状です。これらの症状は徐々に進行しますが、根本的な治療法はないものの、薬物療法やリハビリテーションによって症状をコントロールし、日常生活の質を維持することが可能です。早期発見と継続的な治療が重要となります。 |
アルツハイマー病(アルツハイマーびょう) | 脳神経が変性・脱落し、記憶障害から始まり、思考力や判断力などが徐々に低下する進行性の認知症。最も多い認知症の原因疾患です。認知症の一種で、大きく分けて、若年性(65歳未満発症)と孤発性(普通性)(65歳以上発症)があります 孤発性アルツハイマー病:d-block line-height-sm 最も多く、一般的に65歳以上の高齢者に発症します。加齢や生活習慣、複数の遺伝的要因が複雑に関与すると考えられています 家族性アルツハイマー病:d-block line-height-sm 非常に稀で、40~60代の若年期に発症することが多いです。特定の遺伝子変異が原因で、家族内で遺伝する特徴があります。 |
レビー小体型認知症(レビーしょうたいがたにんちしょう) | 脳内に「レビー小体」という異常なタンパク質が蓄積することで起こる認知症の一種です。記憶障害だけでなく、特徴的な症状として、具体的にはないものが見える「幻視」、日によって頭がはっきりしたりぼんやりしたりする「認知機能の変動」、パーキンソン病のような体のこわばりや動きにくさ「パーキンソン症状」などが現れます。診断が難しく、専門医による早期診断と適切なケアが重要となります。 |
てんかん | てんかんは、脳の神経細胞が異常な電気信号を出すことで、意識を失ったり、体がけいれんしたり、感覚が変化したりする発作を繰り返し起こす病気です。発作の形は、脳のどの部分で異常が起きるかによって様々です。突然起こるため不安を感じやすいですが、適切な薬を服用することで多くの場合は発作をコントロールし、通常の生活を送ることが可能です。周囲の理解とサポートも重要となります。 |
多発性硬化症(たはつせいこうかしょう) | 自分の免疫が、脳や脊髄、視神経といった中枢神経の神経を覆う「髄鞘(ずいしょう)(ミエリン)」を攻撃し、神経伝達を妨げる自己免疫疾患です。これにより、視力障害、手足のしびれや麻痺、歩行困難、倦怠感など、様々な症状が突然現れたり、消えたりを繰り返す特徴があります。症状は個人差が大きく、進行の仕方も多様です。完治は難しいですが、薬物療法により症状のコントロールや再発の抑制、病気の進行を遅らせることが可能になってきています。 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS:きんいしゅくせいそくさくこうかしょう) | 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、脳や脊髄の運動神経細胞が徐々に障害される進行性の難病です。これにより、手足や体、呼吸に関わる全身の筋肉へ脳からの指令が伝わらなくなり、筋力が低下し、やがて体が動かせなくなります。感覚や知的な機能は比較的保たれることが多いのが特徴です。進行性で、最終的には呼吸筋麻痺に至りますが、対症療法や一部の進行抑制薬により、生活の質の維持や病状の進行を遅らせるための治療が行われています。 |
脳腫瘍(のうしゅよう) | 脳にできる塊や腫れのことです。良性(非 cancer)と悪性(がん)の2種類があり、悪性は進行して周りの脳に影響を与えます。頭痛やめまい、視力や気分の変化、記憶障害などの症状が出ることがあります。診断にはMRIやCT検査が使われ、治療には手術や放射線治療、抗がん剤などがあります。早めの診断と治療が大切です。 |
髄膜炎(ずいまくえん) | 脳や脊髄を覆う髄膜に感染や炎症が起きる病気です。原因は主に細菌やウイルスで、急に高熱、頭痛、首の痛みや硬直、吐き気、意識障害などの症状が現れます。早めに治療しないと重症化し、生命に危険を及ぼすこともあります。抗生物質や抗ウイルス薬で治療し、予防にはワクチンもあります。 |
脳炎(のうえん) | 脳に感染や炎症が起きる病気です。原因はウイルスや細菌、時には自己免疫反応によることもあります。症状は、高熱、頭痛、意識の混乱、けいれん、手足のしびれや麻痺などです。重症になると意識障害や昏睡状態になり、命に関わることもあります。早めに治療を受けることが重要で、抗ウイルス薬や抗生物質、点滴治療などが行われます。 |
水頭症(すいとうしょう) | 脳の中にある「脳室」という空間に、脳脊髄液が過剰に溜まることで、脳が圧迫されてしまう病気です。この液体は通常、循環・吸収されますが、その流れが滞ったり、過剰に作られたりすることで発生します。乳幼児では頭が大きくなったり、泉門が膨らんだりします。成人では、歩行障害、認知機能の低下、尿失禁などが主な症状です。脳への負担を減らし、症状の改善を図るため、過剰な脳脊髄液を手術で体外へ排出するシャント術などが一般的な治療法です。 |
ハンチントン病 | 特定の遺伝子変異が原因で発症する進行性の神経変性疾患で、脳の一部が徐々に壊れることで、運動障害や精神症状が現れます。主な症状は、手足の不随意な動き(ジスキネジア)や、記憶障害、うつなどです。進行すると、日常生活が難しくなります。原因は遺伝子の異常で、今のところ完治する治療法はありませんが、症状を和らげる薬やリハビリで対処します。早期診断が大切です。 |
トゥレット症候群 | 不随意な動きや音(チック)が何度も繰り返す病気です。例えば、体をぴくったり、いきなり叫んだりします。子どもによく見られますが、大人になることもあります。原因ははっきり分かっていませんが、神経の働きが関係しています。多くの場合、薬や行動療法で症状を和らげることができ、周囲の理解も大切です。 |
血管性認知症(けっかんせいにんちしょう) | 脳の血管がつまったり、破れたりすることで脳の働きが悪くなる病気です。脳の一部が傷つくため、記憶や判断力が低下します。原因は高血圧や動脈硬化などの血管の病気です。症状は突然現れることが多く、進行は緩やかです。血圧を下げたり、血管の病気を治すことで進行を遅らせることができ、早めの対策が予後改善につながります。 |